治験薬の管理

治験薬の管理

治験を実施する際には「治験薬の製造管理、品質管理等に関する基準(治験薬GMP)」を遵守する必要があります。特に品質管理をすることで、「治験薬の品質を保証することで、不良な治験薬から被験者を保護すること」を常に念頭に置かなければなりません。本記事では管理者がどのような業務を行うかを解説していきます。

治験薬の管理について

治験を実施するときには、「薬事法」及び「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(=GCP[Good Clinical Practiceの略])を遵守する必要があります。 治験薬の管理についてはこれに加えて、「治験依頼者が作成した治験薬の取扱い並びに保管、管理及びそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書(以下、治験薬の取扱い手順書)」にも従う必要があります。

治験薬の受領

まずは、治験薬の受領をおこないます。治験薬の取扱い手順書を治験依頼者より入手し、その手順書に記載された治験薬の保管、管理の方法等を確認して置くことが重要です。治験の契約が締結された後、治験依頼者から治験薬を受領します。受領するときには、必ず治験薬交付書と照合してから、治験薬受領書を発行してください。次に治験責任医師及びモニターと協議して処方方法を定めて決められた方法で記録をします。

保管条件の確認

次に治験薬の保管についてです。治験薬は、一般薬剤及び他の治験薬と明確に区分しなければなりません。治験薬の取扱い手順書に記載された方法に則って、保管・管理をしてください。禁凍結、冷暗所保存の治験薬の場合には、適切な設備や環境を吟味して管理します。治験薬の出し入れに際しては、出納表または管理表を作成して、治験薬の在庫、被験者毎の治験薬の使用状況(日付、数量)、治験薬の使用期限及び治験の進行状況を把握しなければなりません。そして、月に1回程度は在庫数量を確認する必要があります。また、治験薬の処方が治験実施計画書の用法、用量、投与期間から逸脱していないことを確認した後、交付することも重要な点です。

治験薬の返却

治験が中止・中断または終了された場合には、速やかに未使用の治験薬(被験者から返却された治験薬を含む)及び使用済みの治験薬の空き箱等を治験薬返却書とともに治験依頼者に返却する必要があります。返却時には必ず治験依頼者から治験薬回収書を受領しておいてください。同時に治験依頼者とともに、治験薬受領数量、処方数量及び返却数量の間に矛盾がないことを確認します。万が一、矛盾が認められた場合には、その理由を調査することになります。

安全性の確保

万が一、治験中に有害事象や副作用が報告された場合は、それが治験薬の管理プロセスに起因するものでないかを評価する必要があります。治験依頼者が治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価する「効果安全性評価委員会」を設置している場合は、委員会に報告をする必要があります。また、治験に当たるスタッフは、必ず治験薬の取り扱いに関する適切な訓練を受ける必要があります。

使用薬の管理責任者は誰になるのか

実施医療機関の長が、治験薬管理者となり、治験で用いる薬の管理責任を負います。原則的には薬剤師を選任することになっていますが、それが不可能な場合には、医師あるいは歯科医師を選任します。

治験薬管理者の指名パターン

治験薬管理者の指名パターンには「治験ごとに治験薬管理者の指名をおこなう」「実務担当の薬剤師を治験薬管理補助者として指名する」などがあります。たとえば、京都大学医学部附属病院では、治験使用薬の管理責任は病院長が負い、病院長が治験薬管理者を指名するなどのパターンを採用しています。

管理者がやらなければいけないこと

治験で使用する薬について、次のような作業を担当することになります。

※記録すべき事項は、日付・数量・製造番号/製造記号・治験薬コード・被験者識別コードなどです。また、必要に応じて、使用期限も記録しておきます。

治験使用薬の管理手順書

治験依頼者は、治験の契約を締結後、速やかに実施医療機関における治験使用薬の管理手順書の作成を行い、実施医療機関に交付する必要があります。管理手順書の作成時には、記載内容が治験使用薬管理表の記載項目と矛盾しないことを確かめてください。また、治験薬の使用期限の記載場所や溶解方法に無理がないことについても、しっかりと確認しておきましょう。

手順書に記載する内容には、次のようなものが含まれます。

また、治験薬の取り扱い方法に関する文書の作成を行い、治験協力者や治験薬管理者に交付することも求められる場合があります。記載すべき内容には、例えば次のようなものがあります。

治験薬の交付について

治験依頼者には、自らの責任のもと、品質の確かな治験薬を実施医療機関に交付することが求められます。ですから、必要な構造設備があり、かつ適切な製造管理および品質管理がなされている製造所によって製造された治験薬であることを確認して交付しなくてはなりません。

また、治験薬が治験薬GMP通知に沿って製造されていること、そして盲検性が維持される方法でコード化・表示されていることを保証する必要が生じる場合もあります。

治験使用薬を回収・返却する場合

回収時に行う作業は、次のとおりです。

治験依頼者への返却準備の際に確認すべきことは、次のとおりです。

返却時に行う作業は、次のとおりです。

治験薬の管理は細心の注意が必要

ご紹介してきたように治験薬の管理は細心の注意が必要となります。薬事法やGMP、GCPを熟知して、治験依頼者とも入念な打ち合わせが必要です。ただ、治験支援システムなどを利用することで、業務の負担を軽減できる場合もあります。ぜひ、検討をしてみてください。

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おすすめの治験管理
・支援システム
(CTMS)
【機能別】
おすすめシステム3選

被験者管理や進捗確認、文書対応、監査準備など、治験業務に伴う煩雑な作業を支援し、効率化と法規制対応を実現する治験支援システム。 ここでは、モニタリング・文書管理・EDCの主要機能別に、実績と信頼性のあるおすすめ3システムをご紹介します。

モニタリング業務向け
(治験の実施状況確認・報告)
QLIFICA
(SOLUMINA)
SOLUMINAのキャプチャ

画像引用元:SOLUMINA 公式HP(https://solumina.co.jp/service/#qlifica)

例えばこんな機能
  • 施設・症例・CRA単位で進捗をリアルタイムに見える化
  • チェック内容から報告書を自動作成、承認も一括完了
  • 課題の対応状況を履歴付きで一元管理、監査対応も容易
  • 複数施設の進捗と履歴を即時に把握し、作業漏れを防ぐ。
  • 文書・IRB・監査対応まで一括管理し、全体業務を効率化。
文書管理業務向け
(治験関連文書の保管・共有)
Agatha
(Agatha)
Agathaのキャプチャ

画像引用元:Agatha 公式HP(https://www.agathalife.com/)

例えばこんな機能
  • 文書ごとの承認状況をリアルタイムで一元管理
  • 電子原本として保管し、法規制や監査に対応
  • 試験や組織単位で柔軟に文書構成を設計・運用可能
  • 契約書や申請書類の承認・版管理を統一し、整合性と履歴を正確に管理
  • 原本性を保った電子保管で、GCP・ER/ES対応を文書単位で実現
EDC業務向け
(電子症例報告)
CapTool® シリーズ
(メビックス)
メビックスのキャプチャ

画像引用元:メビックス 公式HP(https://www2.mebix.co.jp/services/edc/)

例えばこんな機能
  • 入力内容に応じて画面項目を自動制御
  • 入力時に整合性エラーを即時にチェックして通知
  • クエリ対応履歴を一覧表示し進捗を共有
  • 入力作業がスムーズになり、記入ミスや作業ストレスを減らせる
  • DMや統計担当者とのやりとりが明確になり、確認・集計の手戻りがなくなる

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