医師主導治験と企業治験の違いについて

治験の種類には、医師が主導する「医師主導治験」と企業が行う「企業治験」の2種類があります。これら2つは明確な違いがあります。この記事では、この2つの治験について、流れの違いやモニタリングのあり方、被験者負担軽減費、治験保険といったいくつかの面から、どのような違いがあるのかをご紹介していきます。

臨床研究における「医師主導治験」の位置づけ

医師主導治験と企業治験の違いについて説明する前に、医師主導治験とは臨床研究の中でどのような位置付けになっているかをご説明します。

臨床研究は、「臨床試験」と「製造販売後調査(使用成績調査等)」の2つに分けることができます。そのうち「臨床試験」は「治験」と「製造販売後臨床試験」の2つに分けられ、さらに「治験」が「企業試験」と「医師主導治験」の2つに分けられています。

実際に行われている治験の多くが、企業が営利目的で行っている企業治験になります。これは、企業の採算が合う治験に特化して行われており、企業治験の条件に合致しないものが「医師主導治験」として実施されていることが多いといえます。

医師主導治験と企業治験の違いとは?

それでは、ここからは具体的に医師主導治験と企業治験の違いについて説明していきます。簡単にいうと、企業治験は企業が主体となって行っている治験、医師主導治験は医師が主体となり、治験の準備から管理まで医師が自ら行う治験を指します。

医師主導治験での治験届提出とIRB承認の順序は違う

まず、治験の準備段階について見ていきましょう。医師主導治験と企業治験において、準備段階で大きく異なる点は「治験届の提出時期」と「IRB承認時期」の関係です。

まず企業治験の場合は、治験届を提出した後、治験を実施する医療機関で当該の治験をIRBにて承認してもらうという流れになります。一方、医師主導治験の場合は、治験を実施する医療機関においてのIRBで承認を得たあと、治験届の提出を行います。

ちなみに、厚生労働大臣に届出を行った日から起算して30日経過した後でなければ、治験を医療機関に依頼できない「30日ルール」は医師主導治験においても有効です。

医師主導治験における、モニタリングのあり方

また、それぞれの治験におけるモニタリングのあり方も異なります。

企業治験でのモニタリング担当者の役割は、治験責任医師を含めた院内スタッフとの情報交換、という点が挙げられます。しかし、医師主導治験のモニタリング担当者は、第三者としての立場で行動することが求められます。

例えると、企業治験の場合のモニタリング担当者は、製薬メーカーにおけるMRのような立ち位置とイメージするとわかりやすいかもしれません。また、医師主導治験におけるモニタリング担当者は、監査役のような立場であるとイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。

さらに異なるのが、企業治験においてはモニタリング報告書は外部に提出する必要はなく、治験依頼者によって保管が行われます、一方で医師主導治験におけるモニタリング報告書は、モニタリングを行った後にIRBに提出し、審議が行われることになります。

被験者負担軽減費の考え方

続いて、「被験者負担軽減費(治験協力費)」について見ていきましょう。

企業治験においては、それぞれの治験実施機関の規則に基づいて被験者負担軽減費が支払われます。一般的にはおよそ7,000〜10,000円が被験者の訪問ごとに支払われるケースが多くなっています。この被験者負担軽減費は、来院時に必要となる交通費や、時間を拘束することに伴って発生する食事代の負担といった意味合いを持っています。

対して、医師主導治験の場合も被験者負担軽減費を設けることができますが、限られた研究費から支払うことになります。ただし、規定された制度ではないことから、もし治験審査委員会に認められれば被験者負担軽減費を支払わない、ということも可能となります。

ただし、その場合でもただ支払いを行わないというわけではなく、代わりの手段を検討し、可能な範囲で被験者の負担を軽減することが望ましいといえます。

医師主導治験と企業治験の治験保険の違い

最後に、「治験保険」に関する違いをご紹介します。

まず、企業主導の治験の場合には、「医療費」や「医療手当」の補償が行われます。それに対して、医師主導治験の場合は「医療費」「医療手当」の補償は行われていません。これは、医療費・医療手当が保険商品に組み込まれていないことによるものです。

もし、医療費や医療手当を保険商品に組み込んだと仮定すると、医師主導治験保険の保険料が大幅に高くなってしまう可能性もあるのです。

2つの治験にはさまざまな違いがある

こちらの記事では、医師が主導する「医師主導治験」と企業が行っている「企業治験」という2つの治験の違いについてご紹介してきました。これら2つの治験には、さまざまな面について明らかな違いがあります。どのような点が異なるのかを理解しているかどうかは治験を進める上で影響してくることから、しっかりと押さえておくことが大切です。

治験支援システム比較はこちらから

     治験支援システム PICK UP

このサイトをご覧なら、治験業務の負担を減らす支援システムの導入を検討中だと思います。治験のシステムといえば「CTMS(治験管理システム)」を連想するかもしれませんが、CTMSはマネジメントの要素が強いため、「モニタング業務の負担軽減」「文書管理を自動化したい」といった目的が他にあるのであれば、各目的に特化したシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。運用目的にフォーカスされている分、より低コストで運用できる高機能なシステムが見つかるはずです。

特にニーズの高まっている3つの目的に関してピックアップしてご紹介します。

モニタリング業務の
負担を減らしたいなら

例えばこんな機能

●リアルタイムでデータ収集の進捗・逸脱を確認できる
●各施設・各患者の状況が一目でわかる
●モニタリング報告書がほぼ自動的に作成される

モニタリング業務システム
の比較はこちら

文書管理の
負担を減らしたいなら

例えばこんな機能

●各ガイドラインに沿った文書をほぼ自動で作成する
●電子署名や版管理機能などがあり文書をデータ上で管理できる
●PDFやExcelで出力できる

文書管理の負担軽減
システムの比較はこちら

EDCを導入したいなら

例えばこんな機能

●電子症例報告書(eCRF)の作成や既存データの転記ができる
●患者への説明や承諾を得る作業が同一システム内で完結できる

EDCシステム
の比較はこちら

関連ページ

CTMS Media ~国内の治験・臨床研究支援システム情報まとめサイト~

知っておきたい治験・臨床研究の基礎知識
治験の休薬期間の必要性とは
「治験の依頼等に係る統一書式」とは?
臨床研究・臨床試験・治験の違い