「治験の依頼等に係る統一書式」と呼ばれるものがあります。ここでは、治験の依頼等に係る統一書式とは何か、どういったことに注意すれば良いのかなどについて解説します。
「治験の依頼等に係る統一書式」の概要
まずは治験の依頼等に係る統一書式の概要として、目的や改正内容などについて紹介します。
基本と目的
治験の依頼等に係る統一書式とは、治験において必要となる各種書類などがまとめられたものです。
大きな特徴として、診療科長の確認印など、一部の医療機関のみで必要となるような事項を省いて作られている点が挙げられます。簡素化し、かつ統一化を図るのが主な目的です。
また、統一書式の遵守を推進することによって治験等の効率的な実施につなげることを目的としています。
「企業治験・製造販売後臨床試験」用と「医師主導治験」用の2種類が用意されています。
改正内容
治験の依頼等に係る統一書式の一部改正について、令和4年11月30日付で通知がありました。旧通知からの変更点がいくつかあります。
まず「企業治験・製造販売後臨床試験」についてです。被験薬、治験使用薬等の定義が追加されたことによる変更や、実験実施計画書における治験責任医師および治験調整医師等の職名の削除、その他が変更されました。
医師主導治験についても、上記のほか「治験責任医師は、報告する重篤な有害事象のうち重篤で予測できない副作用を特定する」の削除、その他が変更されています。
「治験の依頼等に係る統一書式」に関する注意点
注意点として、おさえておきたいポイントを解説します。
記載に関する注意
年については、西暦での記載が必要です。また、整理番号は各実施医療機関で必要に応じて記載しましょう。
区分については、実施する試験に応じて「治験」又は「製造販売後臨床試験」を選択します。
それから「別紙の形式は問わない」と記載されているものがあるのですが、これはどのような形でも問題ないとの意味ではありません。あくまで必要な情報が適切、明確である場合のみ特段の書式は定めないという意味です。
例えば、記載欄が不足するような場合については、当該欄に「別紙のとおり」のように記載した上で別紙を添付することが認められています。この際、別段の書式は定められていません。
治験の期間については、治験実施計画書に記載された治験の期間を記載しましょう。
治験依頼者の欄については、会社名を記載することになります。ただ、治験依頼者と開発業務受託機関との間で取り交わした文書に基づく形で実施医療機関と協議の上であれば、開発業務受託機関名の記載に変更しても問題ありません。
他にも、全般で気をつけなければならない注意事項があるので、事前に確認しておくことが重要です。
保存に関する注意
統一書式に定めた全ての文書については、電磁的記録による作成や交付、保存といったものが可能です。
ただ、電磁的記録を利用する場合は、文書作成や交付のプロセスといったものを適切に管理しなければなりません。これにより信頼性を確保し、なおかつ見読性についても確保された状態で保存しましょう。