治験に参加することを「治験バイト」と言う人もいます。その理由は、治験に参加する際にもらえる負担軽減費にあります。では、副業が禁止されている公務員は、治験に参加できるのでしょうか?
治験を行う際に、公務員からの応募があったときに断るべきか悩むかもしれません。
治験は、アルバイトではなくボランティアです。結論からお伝えすると、公務員が治験に参加しても問題ありません。ここでは、公務員の治験参加について詳しく説明します。
地方公務員の社会貢献活動に関する兼業について
公務員の副業は、国家公務員法・地方公務員法で禁止されています。
禁止されているのは、働いた対価として報酬を得る行為です。ボランティア活動は労務を提供しますが報酬を得ないため、問題ありません。また、交通費等実費弁償として受け取る金銭は報酬とはみなされません。
公務員の副業が禁止されている一方で、総務省は、積極的な社会貢献活動への参加を推奨しています。しかし、職員が法令をすべて把握することは難しく、また基準を設定している地方公共団体が少ないため、副業とみなされる基準が分かりにくいのが現状です。
ボランティアのつもりでも、副業とみなされた場合は懲戒処分などを受ける可能性があります。社会貢献活動であっても躊躇する人は少なくありません。
治験は、参加すると協力費がもらえます。これが労務提供の対価としての報酬になるのかが分からず、治験参加を悩む公務員は多いです。治験実施側も、公務員を参加させていいものかどうか悩むかもしれません。
なぜ公務員が治験に参加をしても大丈夫なの?
公務員は副業が禁止されていますが、社会貢献活動への参加は推奨されています。公務員が治験に参加しても問題ありません。しかし、「協力費は報酬にならないのか?」という疑問が残るでしょう。ここでは、なぜ公務員が治験に参加してもいいのかを解説します。
治験はボランティアだから
公務員が治験に参加しても問題ない理由のひとつは、治験がボランティアだからです。自費で参加することをボランティアと認識するのが一般的ですが、ボランティアには有償ボランティアというのもあります。治験は有償ボランティアです。
「有償」という部分が不安材料になりますが、治験に参加してもらえる協力費は、「負担軽減費」として支払われるもので、労務提供に対する対価ではありません。治験に参加するためには何度も施設に足を運んだり、入院したりと様々な負担が発生します。その負担を軽減する目的で支払われるものです。
治験は、肉体的・精神的負担を引き受けて新薬の開発に協力するというボランティア的側面が強いものです。交通費以上の負担軽減費が発生しますが、あくまで負担に対する軽減措置のため、副業による報酬とはみなされず、社会貢献活動として捉えられます。
処分された事例が無い
公務員が副業をして処分された事例は様々なものがあります。知人にカウンセリングをして200万円の報酬を受けた小学校教諭は停職処分、接待を伴う飲食店での副業をしていた看護師は戒告、スニーカー転売で1900万円の転売益を得ていた市職員は、減給10分の1などです。
こうした処分事例の中に、治験参加の事例はありません。治験はこれまで多数行われており、公務員でも参加した人はいることでしょう。が、処分された事例はありません。
公務員の治験参加は断らなくていい!
公務員は副業が禁止されていますが、治験はボランティアであり、負担軽減費は報酬とみなされていません。公務員が治験に参加して処分された事例もありません。公務員の応募があった場合、公務員であることを理由に断る必要はありません。