治験と臨床試験においては、それにかかる日本SMO協会、日本CRO協会、日本製薬工業協会医薬品評価委員会の3団体が、データインテグリティ宣言を共同で策定しました。これにより、治験・製薬業界においてデータインテグリティの重要性が高まっています。
製薬業界にデータインテグリティが求められるワケ
医薬品の安全性の追求は、製薬業界において必須事項であるにもかかわらず、医薬品申請の電子化に伴い、データインテグリティ担保に関する指摘が多発しています。例えば欧米の場合、当局が発信する査察指摘事項の60%がデータ管理不備を指摘するものになっています。
国際標準化が進む製薬業界において、グローバル化・電子化に対応するためには、データインテグリティへの取り組みは急務です。
製薬業界におけるデータインテグリティとは
データインテグリティとは、データが完全で一貫性があり、正確であることです。また、米国FDAや欧州EMAが提示するALCOA原則やCCEAに則ったデータであることです。FDAやEMAをはじめとした規制当局は、データインテグリティに焦点をおいた監視を強化し、そのためのガイダンスを続々と発表しています。データ管理の厳格化が求められる中、日本の製薬業界においても、データインテグリティへの対応は急務です。
データインテグリティは、データの生成から廃棄に至るまでの、データのライフサイクルの全過程で担保されるべきものです。つまり、所属部門や業務の種別に関係なく、全社的に取り組むべき課題となります。
ALCOA原則・CCEAとは
データインテグリティにおけるALCOA原則とは、Attributable(帰属性): データの所有者・帰属・責任が明確であること、Legible(判読性):データが判読でき、理解できること、Contemporaneous(同時性): データの生成と記録が同時であること、Original(原本性):データが原本であること・複製や転記ではないこと、Accurate(正確性):データが正確であること、これらの原則であり、それぞれの頭文字をとってALCOA原則と呼んでいます。
また、CCEAとは、Complete(完全性): データが完全であること、Consistent(一貫性): データが一貫して矛盾がないこと、Enduring(耐久性): データが永続的であること、Available when needed(必要時の有用性):データが必要なときに利用可能であること、これらの頭文字をとってCCEAと呼んでいます。
これらの要件を満たしていなければ、データ完全性があるとは言えない、ということになります。