治験責任医師が治験開始前に行う業務とは?

治験を実施する上で、治験責任医師(Principal Investigator, PI)は重要な役割を担っています。治験が倫理的かつ科学的に適切に行われるように、多くの準備や確認作業を行う必要があります。

治験責任医師の要件確認

治験を開始するにあたり、治験責任医師はまず自らが必要な要件を満たしていることを確認する必要があります。具体的には、以下のような要件をクリアしていることが求められます。

治験実施計画書(案)の協議と合意

治験開始前に、治験実施計画書の内容について治験依頼者と十分に協議し、合意する必要があります。治験実施計画書は治験の進行方法を定めた重要な文書であり、倫理的・科学的に適正であることを確認した上で、治験依頼者とともに記名押印または署名を行います。

治験分担医師及び治験協力者のリスト作成

治験を適正かつ安全に進めるためには、治験責任医師は治験に必要なスタッフを確保することが重要です。治験分担医師や治験協力者を選定し、その担当業務のリストを作成します。このリストは、あらかじめ病院長に提出し、了承を得る必要があります。

同意説明文書の作成

被験者から治験参加の同意を得るための同意説明文書を作成することも、治験責任医師の重要な業務です。この文書は、被験者が理解しやすい平易な表現で作成し、治験の目的や方法、予測される利益やリスクなどを明確に記載する必要があります。

また、被験者の権利や治験参加の自由についても説明することで、被験者が納得の上で参加できる環境を整えます。

契約書の確認と署名

治験依頼者と医療機関の間で結ばれた契約内容を確認し、その内容が妥当であることを確認した上で、契約書に記名押印または署名を行います。契約内容には、治験の範囲や役割、責任などが含まれており、治験を円滑に進めるための基盤となります。

スタートアップミーティングの参加

治験の開始に先立ち、治験責任医師はスタートアップミーティングに参加します。このミーティングでは、治験に関わる各部署の関係スタッフが一堂に集まり、治験実施のための手順を確認します。例えば、処方オーダーの手順や、被験者の残薬回収の方法、保険外併用療養費への対応などについて話し合います。これにより、治験がスムーズに進行するための共通理解が得られます。

まとめ

治験責任医師が治験開始前に行う業務は多岐にわたりますが、これらはすべて治験が安全かつ適正に行われるために必要な準備です。治験責任医師がこれらの業務を適切に遂行することで、治験に参加する被験者の安全が守られ、治験の信頼性が確保されるのです。治験の倫理的・科学的適正を担保するために、しっかりとした準備を行うことが求められています。

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