製薬業界では、「医薬品等の承認または許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について」のみを対象とし、社内における電磁的記録や電子署名の対処方法を検討しがちです。しかし、いわゆる「電子署名法」「e-文書法」「厚生労働省令第44号」等により、製薬業界にも電子化の波が来ています。
治験関連文書の電子化に係る関連法令・通知等
電子化に関する法律等には以下のものがあります。
- 電子署名および認証業務に関する法律(平成12年5月31日 法律第102号、電子署名法)
- 行政手続き等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成14年12月13日法律第151号、行政手続きIT利用法)
- 厚生労働省の所管する法令に係る行政手続き等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則(平成15年3月20日 厚生労働省令第40号)
- 民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律(平成16年12月1日 法律第149号、e-文書法)
- 厚生労働省の所管する法令の規定に基づく民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する省令(平成17年3月25日 厚生労働省令第44号)
これらの法律により、電磁的記録で作成・交付・保存したものがGCP実地調査の対象になります。
治験文書における電子化の状況
治験文書における電子化については、まず2013年11月下旬に立上げ準備として、規制当局、医療機関への協力要請を行い、計画の方向性を確定しました。そして2013年12月上旬に検討開始し、企業側参加者募集、正式発足・検討、実装への課題抽出、課題の分類、課題解決、SOPモデルの作成へと進行。
2014年9月上旬には実装開始し、事務局を残し検討会を解散。同年9月4日にSOPモデルの公開を行いました。各社での実装作業および事務局による進捗フォロー、導入における質疑等の受付、検討結果の公開、シンポジウムの開催を行いました。2014年12月に啓発開始し、How toの公開、導入効果の調査および結果公表となりました。
参照元:治験の電子化の状況|日本製薬工業協会 医薬品評価委員会 臨床評価部会 藤岡 慶壮
EDC管理について
EDCとは、治験データ・臨床研究データを紙媒体を介さず電子形式で収集することです。EDCを管理するための管理シートの構成は以下のとおりです。
- 治験等の番号
- システムの名称(バージョン)
- 治験成分記号、または製品名
- 治験等の名称
- 治験等の実施期間
- 調査対象申請資料に含まれる治験等(Yes or No)
- 外部委託者(治験等の単位で契約)
- 治験情報の設定内容に関するバリデーション(試験固有のUAT等)の実施に関する手順書
- ユーザーの登録申請からID/パスワードの交付、ユーザーの確認、登録したユーザーの削除のための手順書
- セキュリティに関するユーザーの教育訓練手順書
- 承認申請日
- 販売名
- CTD番号
EDC管理シートは、EDC手法を活用したデータの取得状況を効率的に確認するために提出します。また、EDC管理シートは、治験依頼者の自己点検ツールとして活用することもできます。