治験の解析対象集団とは

治験関連用語の一つとして「解析対象集団」というものがあります。ここでは、解析対象集団の分類である「ITT」「FAS」「PPS」についてそれぞれ解説します。

ITT

「ITT」とは「Intent To Treat」の略で、解析対象集団の中で最も大きなものを指しています。治験を進めていくと、何らかの理由によって治験を継続できなくなる参加者が出てくることも珍しくありません。 ITTでは、こういった方もすべてデータの解析を行っていきます。

治療をしようとしたかが重要

ITTは、対象者が予定通り治療を受けたか、完結したかではなく、治療をしようとしたかを重視した解析対象集団です。最初に割り振られた群に従う形で分析を進めるのが分です。

例えば、治験では新薬のほかに偽薬が使われます。仮に新薬を投与される予定だった方が誤って偽薬を投与された場合でも、ITTでは最初に割り振られた通り新薬の投与群として扱われることになります。

同様に、新薬群に割り振られたものの何らかの理由で一度も投与されずに治験が終わった場合も、新薬群として扱われるのが特徴です。

FAS

「FAS」とは「Full Analysis Set」の略で、ITTより小さい解析対象集団を指しています。

ITTでは、新薬を投与されなくても新薬群に割り振られた方は新薬群として取り扱っていました。ですが、FASではこういった方を除き、データの収集や解析を行っていくことになります。

除外される人の例

FASでは、その群に割り振るには適切でない人を除外して解析していくことになります。例えば、何らかの誤りによって試験の対象となってしまった人や、一度も薬を飲まなかった人などです。

また、正確なデータが取得できていないような場合も対象外となることがあります。

試験を進めていく中で継続ができなくなった方や、途中で研究への参加を撤回した方なども除外する形となります。

ただ、具体的にどのような人を除外対象に定義するかについては、各試験で検討していかなければなりません。

PPS

「PPS」とは「Per Protocol Set」の略で、FASよりも小さい解析対象集団を指します。FASの中でも、治験実施計画に適合した症例からなる集団がPPSです。

PPSの定義

PPSに分類されるのは、あらかじめ定めてあった最低限の試験治療規定を完了した参加者です。そのため、薬を投与されたとしても十分な有効性データがないような場合は、対象から除くことになります。

どの程度のデータを求めるのかについては各試験によって違いが大きいです。例えば、24週の試験を行う場合、24週まで完遂した参加者のみをPPSとしてしまうと、完遂者の数が少なく十分なデータが取れない可能性が高いです。

そのため「12週間後までの有効性データがあれば良し」とするような治験もあります。

注意点として、具体的にどういった定義にするかは、実際に試験を始める前に決めておかなければなりません。結果が出てきてからだと有意差が出やすい集団をPPSとして定めてしまう可能性があります。

治験支援システム比較はこちらから

おすすめの治験管理
・支援システム
(CTMS)
【機能別】
おすすめシステム3選

被験者管理や進捗確認、文書対応、監査準備など、治験業務に伴う煩雑な作業を支援し、効率化と法規制対応を実現する治験支援システム。 ここでは、モニタリング・文書管理・EDCの主要機能別に、実績と信頼性のあるおすすめ3システムをご紹介します。

モニタリング業務向け
(治験の実施状況確認・報告)
QLIFICA
(SOLUMINA)
SOLUMINAのキャプチャ

画像引用元:SOLUMINA 公式HP(https://solumina.co.jp/service/#qlifica)

例えばこんな機能
  • 施設・症例・CRA単位で進捗をリアルタイムに見える化
  • チェック内容から報告書を自動作成、承認も一括完了
  • 課題の対応状況を履歴付きで一元管理、監査対応も容易
  • 複数施設の進捗と履歴を即時に把握し、作業漏れを防ぐ。
  • 文書・IRB・監査対応まで一括管理し、全体業務を効率化。
文書管理業務向け
(治験関連文書の保管・共有)
Agatha
(Agatha)
Agathaのキャプチャ

画像引用元:Agatha 公式HP(https://www.agathalife.com/)

例えばこんな機能
  • 文書ごとの承認状況をリアルタイムで一元管理
  • 電子原本として保管し、法規制や監査に対応
  • 試験や組織単位で柔軟に文書構成を設計・運用可能
  • 契約書や申請書類の承認・版管理を統一し、整合性と履歴を正確に管理
  • 原本性を保った電子保管で、GCP・ER/ES対応を文書単位で実現
EDC業務向け
(電子症例報告)
CapTool® シリーズ
(メビックス)
メビックスのキャプチャ

画像引用元:メビックス 公式HP(https://www2.mebix.co.jp/services/edc/)

例えばこんな機能
  • 入力内容に応じて画面項目を自動制御
  • 入力時に整合性エラーを即時にチェックして通知
  • クエリ対応履歴を一覧表示し進捗を共有
  • 入力作業がスムーズになり、記入ミスや作業ストレスを減らせる
  • DMや統計担当者とのやりとりが明確になり、確認・集計の手戻りがなくなる

関連ページ

CTMS Media ~国内の治験・臨床研究支援システム情報まとめサイト~

知っておきたい治験・臨床研究の基礎知識
治験の流れ
治験保険について
SDVとは