医薬品開発業務受託機関(CRO)とはどのような機関か
医薬品開発業務受託機関(CRO)とは、製薬会社から委託を受けて医薬品・化粧品・特定保健用食品の開発と治験に関わる業務を請け負う外部機関のことです。
国内で業務を受託、請け負うCROのほかに、世界的企業としてのCROも存在しています。特に近年では新型コロナウイルス感染症の拡大によって、CROが果たす役割は日々大きなものとなっています。
CROでは治験プロジェクトやモニタリング、報告書の作成など多岐にわたり、社員を派遣して企業に常駐させるケースもあります。
医薬品開発業務受託機関(CRO)が行う業務内容
医薬品開発業務受託機関(CRO)が行う業務内容について、詳しくみていきましょう。
治験の準備・モニタリング
医薬品や化粧品など、化学薬品を扱った薬の開発には莫大な時間と手間がかかります。製薬会社だけでは間に合わせることができない部分を、CROは委託というかたちで請け負っています。
CROでは臨床試験の最終段階である「治験」をサポートしており、準備段階から実施までを行います。治験には第Ⅰ相から第Ⅲ相まで段階があり、少数の健常者だけで行う第Ⅰ相から、多数の患者さんを招いて行う第Ⅲ相までをCROが支援しています。
治験中のモニタリング・治験に通った新薬の有効性や安全性の申請承認、製造販売後の調査まで、一貫して支援を行うことも特徴的です。
データ収集・マネジメント
治験中から新薬の反応や効果に関するデータを収集、医学的な内容のチェックと分析を行い、専用のシステムを通じてデータ化することもCROの重要な仕事のひとつです。
管理業務は「データマネジメント(DM)」と呼ばれる専門職のスタッフが行いますが。ただし治験中にはわからなかった効果やその他の情報があとから報告されることも多いため、販売後も広範囲に調査・分析を行わなければなりません。
そこでCROでは、治験に通過した新薬の製造販売を見届けるだけではなく、その後も4年以上にわたり調査を継続していきます。
承認申請書類の作成と報告
厚生労働省に、新薬の治験結果と承認申請に関する書類をまとめ、報告を行います。添付資料の作成やチェックもCROの重要な仕事です。
調査や試験に付随する業務
省令に基づいて、治験の協力者の安全と人権を守ったり、システムの開発や統計解析を行ったりすることもCROならではの業務といえるでしょう。
治験の品質が一定に保たれるように管理し、安全を確保しながらデータを得ていく仕事は、今後もさらに発展していくと考えられます。CROの活躍の場は、国際共同治験や患者数が少ない希少疾病への新薬である「オーファンドラッグ」のほか、iPS細胞などの再生医療にも活かされていくとされています。