治験では治験ボランティアに謝礼金が支払われます。ここでは治験ボランティアに謝礼金を支払う目的や治験における謝礼金の相場と計算方法などについて解説します。
治験の謝礼金とは?
治験ボランティアに謝礼金を支払う目的は4つあります。拘束時間に対する謝礼、予想されるリスクに対する謝礼、経済的負担に関する謝礼、制約条件による謝礼です。
この4つの要素それぞれの負担が大きくなるほど、謝礼金の金額が高く設定されます。
治験は決められたスケジュールに沿って行われるものです。ボランティアはそのスケジュールに合わせて時間を確保しなければならず、場合によっては仕事を休んだり、予定を入れたりしないようにスケジュールを調整する必要があります。治験は通院タイプ、入院タイプ、入通院タイプに分類され、拘束時間が長くなるほど謝礼金も高額になります。
日本国内で行われる治験は、海外承認済みの薬剤を日本人が使用した場合の安全性をチェックすることを目的にしたものが多いです。しかし中には、未承認の薬剤や市場に出回っていない試験品などを使用する場合もあります。投薬による副作用や人体への影響などのリスクが発生する場合があるのです。治験薬の投与によって大きな副作用が想定される場合や体への負担がかかる作業があるような場合は、謝礼金は高額に設定されます。
また謝礼金を支払う目的として経済的負担がありますが、これは治験に参加する時間を確保するために仕事を休んだり、本来得られるべき収入が失われたりすることへのボランティアの負担を指します。治験に参加することで、ボランティアにこのような不利益が生じてしまうため、その負担を軽減するために謝礼金が支払われるのです。
治験における謝礼金の相場と計算方法
治験における謝礼金の相場は通院タイプと入院タイプによって異なります。
通院タイプの治験の場合、拘束時間は数時間から半日程度。日誌に生活記録を付ける、試験食品を定期的に摂取するなど、検査内容も手軽な内容の場合が多いです。一通院あたり7,000~10,000円が相場で、謝礼金は一通院当たりの謝礼金×日数で設定されます。通院タイプの場合、通院回数×謝礼金で計算されるため、治験の期間は謝礼金の増減にそれほど関与しません。
入院タイプの治験の場合、拘束時間も長く制限要項も多く設けられます。全国平均の最低賃金×24時間で計算すると、1泊あたり約20,000円の謝礼金が想定されます。それに加え、入院タイプの治験はその多くが治験薬の投与を行うので、薬剤を投与することによる体への影響を考慮して、1泊あたり20,000~30,000円が相場です。宿泊数×1泊あたりの謝礼金で総額が決まります。
治験の謝礼金を支払う際の注意点
治験の謝礼金を支払う際の注意点を解説します。
支払う時期
治験の謝礼金を支払う時期は入院タイプか通院タイプかによって異なります。入院タイプの治験では、最終退院日に現金で直接支払われるケースが多いです。長期の入院の場合や、複数回の入院が必要になる場合は、分割して支払われることもあります。通院タイプの治験の場合は、通院の度に現金を手渡しもしくは通院回数分を翌月末にまとめて銀行振込します。
税務処理
受け取った謝礼金は税区分上では雑所得に該当します。雑所得は課税対象となるため、1年間で得た収入に応じて確定申告をしなくてはいけません。治験ボランティアを募集する際は、税務処理の必要性があることも説明するようにしましょう。