GLPの定義
新薬開発では、人を被験体とする臨床試験を行う前に、動物実験(in vivo実験)や細胞培養といった試験管内試験(in vitro実験)を行い、新薬の有効性や安全性を確認します。こうした実験を、「非臨床試験」と呼びます。非臨床試験は、医薬品の輸入・製造の承認を受けるために、実際の治験(臨床試験)を実施する前に行うことを義務付けられているテストです。GLP(Good Laboratory Practice)とは、この非臨床試験が安全かつ適切な仕方で行われるために、厚生労働省が薬事法を元に省令として定めた一群の規則のことを指します。具体的には、GLPには
- 試験施設の設備および機器
- 組織および職員
- 検査の手順および結果
といった項目についての規則が含まれています。
GLPの歴史
GLPの制定の直接のきっかけとなったのは、1960年代に世界中で社会問題となった睡眠薬サリドマイドによる薬害事故。サリドマイドを服用した妊婦から先天性障害児が生まれる可能性があることが判明し、各国でサリドマイドの製造および販売が中止となりました。騒動を受けて米国議会が行った新医薬品認可制度の調査の結果、サリドマイド開発の試験検査等の課程に大きな問題があることが発覚。事態を重く見た米国食品医薬品局(FDA)が、新薬開発における非臨床試験の安全性を確保するために1979年にGLPを発効、そして、そうした米国の反応を規範として、日本では、1983年4月にGLP基準が施行されました。