臨床試験の手順

第I相試験(フェーズ1)とは

治験や臨床試験における「フェーズ1」とは、自由意志に基づいて治験への参加を表明した成人に対し、開発中の薬剤を投与して薬効や安全性を調べる段階のことを言います。

人に対して初めて薬剤が投与される段階ですから、薬を投与される人の安全性を確保することが大切。動物実験の結果を受けて、人に適用をする最初のステップであり、安全性を検討する上で非常に重要なステップとなります。

薬物動態を明らかにすることが目的

フェーズ1では、治験薬の急襲や分布・代謝といった薬物動態に関する特徴を見出す試験があります。腎排泄の比率や薬物相互作用の可能性、薬物吸収に及ぼす接触の影響など…。代謝や排せつ障がいを有する患者や、高齢者のような特定の集団で薬物動態試験を行うことも。

薬力学的な評価を行うことが目的

治験薬の種類によっては、評価項目を工夫して薬力学試験及び血中薬物濃度と薬理作用の関連性に関する試験を、見城被験者や患者を対象に行うこともあります。

効果を探ることが目的

治験薬の種類によっては、薬効や見込まれる治療上の利益に関する情報を得ることを目的とした試験を行います。通常は副次的な目的とされています。

第II相試験(フェーズ2)とは

比較的軽度な小数例の患者を対象として、フェーズ1で安全性が確認された用量の範囲内で、治験薬の安全性や有効性、その用法・用量などを詳しく調べるステップです。

フェース2ではさらに同意を得た少人数の軽度な患者に対し、主に対象疾患や病状、適切な用法・用量を調査する「前期試験」に加え、数百人程度の患者に対して有孔率と副作用を調査する「後期試験」を行います。

フェーズ2の実施にあたって、その用法・用量を決定するという目的も果たされます。当初は少数の患者に少ない容量の治験薬を投与し、次第に患者の数と用量を増やして期間を長くし、最も高い薬効が得られる用法・用量を見つけます。

患者と医師の心理的バイアスを除く

フェーズ2では、被験者に使用される治験薬の内容が事前にわかるため、患者と医師の双方に心理的なバイアス(偏り)が生じてしまいます。治験薬の内容を知ることで、被験者は反応性に、医師には患者選択・補助療法・観測評価などに偏りが生じてしまう可能性があるのです。

これらのバイアスを除くために、治験薬の内容を医師・患者双方に知らせない「二重盲検試験(ダブル・ブラインド・テスト)」が行われます。実薬かプラセボ(偽薬)かわからないものが医師に送られ、患者に投与した後で医師が有効・無効を判定します。

標準薬がない病気はプラセボを使用しなければ新薬が出ない

プラセボは薬の効果を科学的に検証するための、薬効成分を含まない薬剤です。標準薬がない病気では、プラセボを使って治験を行わないと新薬を世に出すことはできません。有効な新薬を登場させるためにも、プラセボは大きな役割を担っています。

第III相試験(フェーズ3)とは

フェーズ2よりもさらに詳細な情報を収集し、治験薬の有効性を調査するのがフェーズ3の段階です。数百から数万という大規模な患者を対象として、実際の治療での使用に近い形で治験薬を投与します。

治療現場での使用を想定しているため、様々な合併症を持つ患者に投与したり、半年から1年にわたる長期試験を実施したり、「盲検法」によって薬剤と治療効果を比較したりなど…様々な試験が行われます。

病気の種類や試験のデザインによって差はありますが、フェーズ3は数百例から1万人規模の大掛かりな試験を実施するため、莫大なコストがかかります。この段階で開発中市に追い込まれると甚大な損失を負うことになるため、フェーズ3のリスクを軽減するために他企業との共同開発に踏み切るケースも少なくありません。

治験支援システム比較はこちらから

     治験支援システム PICK UP

このサイトをご覧なら、治験業務の負担を減らす支援システムの導入を検討中だと思います。治験のシステムといえば「CTMS(治験管理システム)」を連想するかもしれませんが、CTMSはマネジメントの要素が強いため、「モニタング業務の負担軽減」「文書管理を自動化したい」といった目的が他にあるのであれば、各目的に特化したシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。運用目的にフォーカスされている分、より低コストで運用できる高機能なシステムが見つかるはずです。

特にニーズの高まっている3つの目的に関してピックアップしてご紹介します。

モニタリング業務の
負担を減らしたいなら

例えばこんな機能

●リアルタイムでデータ収集の進捗・逸脱を確認できる
●各施設・各患者の状況が一目でわかる
●モニタリング報告書がほぼ自動的に作成される

モニタリング業務システム
の比較はこちら

文書管理の
負担を減らしたいなら

例えばこんな機能

●各ガイドラインに沿った文書をほぼ自動で作成する
●電子署名や版管理機能などがあり文書をデータ上で管理できる
●PDFやExcelで出力できる

文書管理の負担軽減
システムの比較はこちら

EDCを導入したいなら

例えばこんな機能

●電子症例報告書(eCRF)の作成や既存データの転記ができる
●患者への説明や承諾を得る作業が同一システム内で完結できる

EDCシステム
の比較はこちら

関連ページ

CTMS Media ~国内の治験・臨床研究支援システム情報まとめサイト~

知っておきたい治験・臨床研究の基礎知識
治験費用の算定
治験における緊急報告のための基準
臨床研究と基礎研究の違い