GCP実地調査は、「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」(=GCP[Good Clinical Practiceの略])に基づいた調査のことです。以下にその詳細をご紹介していきます。
GCP実地調査とは
GCP実地調査とは、PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)の調査員が承認審査資料の収集や作成が行われた現地を訪れて調査を行うことです。
通常、この調査は、治験依頼者および治験実施医療機関(原則として新薬の場合は4つの施設、効能追加やオーファンドラッグなどの場合は2つの施設)を対象として行われます。
調査対象医療機関の選定は、治験の実施状況、治験実施症例数、過去のGCP実地調査の実績などが考慮されます。
GCP実地調査の視点
GCP実地調査は、治験に関する記録から、治験において被験者の人権、安全、福祉の向上が図られ、治験実施計画書を遵守して実施されているか、科学的な質と成績の信頼性が確保されているかを確認することです。
決して形式的な照合作業や間違い探しのような視点で行われることはありません。
主な視点の例は以下等です。
- 知見の実施に十分な設備や人員を有しているか
- 緊急時に被験者に必要な措置を講ずることができるか
- 同意の取得方法は適切か
- 原資料等の記録が適切、適正に保存されているか
GCP実地調査の準備
治験依頼者が厚生労働省に製造承認申請やPMDAへの調査依頼を出すと、PMDAからGCP調査の通知が治験依頼者と治験実施医療機関に送られます。
通知には調査の日時、内容、進行予定、準備すべき記録や文書などが指示されます。
治験実施医療機関はそれに従って準備を行います。また、GCP実地調査の依頼が届いたら、治験依頼者への連絡や調査の日程の協議と場所の確保、関係者への連絡を行い、準備をします。
事前提出資料の作成
GCP実地調査の依頼時に指示された資料および 文章について、実施医療機関からPMDAへ調査直前提出資料を提出する必要があります。
原則3週間以内で提出する規定ですので注意が必要です。必要書類の例は以下です。
- 治験に係る業務の手順書
- 治験審査委員会運営に関する手順書
- 治験審査委員会の委員名簿
- 被験者に交付された当該治験の説明文書など
詳細は「医薬品の承認申請資料に係る適合性書面調査及びGCP実地調査の実施手続きについて」を参照してください。
当日に向けた準備
GCP実施調査当日に向けて、治験審査委員会や治験事務局に関連する文書や記録、原資料、治験薬に関する記録などを準備し、治験実施時の状況を適切に説明できるようにして下さい。
PMDAのホームページには「新医薬品GCP実地調査チェックリスト(医療機関用)」や「EDC調査チェックリスト(医療機関用)」が公開されていますので、事前に調査内容を想定して準備を進めて下さい。詳細は以下のURLから参照できます。詳細は以下のURLから参照できます。
(https://www.pmda.go.jp/review-services/inspections/drugs/0004.html)
GCP実地調査の当日
GCP実地調査当日は、調査員からの調査目的や手順の説明の後、治験事務局に関する文書や記録の確認、症例報告書とカルテなどの原資料との照合をします。
調査員は実施状況について不明点があれば聞き取りを実施しますが、その際には適切な記録を提供し、具体的な説明が必要です。特に、治験中に生じたSAEや逸脱については、その状況や経緯の記録、再発防止策などに関する記録も準備し、それを用いて説明してください。
GCP実地調査終了後には、講評及びGCP実地調査結果通知書が届きます。調査結果は「適合」「条件付き適合」「不適合」で評価されます。GCP実地調査で指摘された事項については、治験責任医師や治験事務局、治験審査委員会、治験薬管理者など関係者と協力して改善策を検討し、現在または今後の治験に反映させるように早急に対応する必要があります。
GCP実施検査には真摯に対応を
ご紹介してきたように、GCP実施検査とはGCP省令に基づいた調査です。PMDA(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)が調査をしています。
治験が、被験者 の人権、安全、福祉の向上を図り、治験実施計画書を遵守して行われ、科学的な質と成績の信頼性が確保されているかを検証するものですので、真摯に対応する必要があります。