海外治験と国内治験との違いとは

「海外治験」はその名称が示す通り国外で行われる「治験」で、「臨床試験」の一種です。
そもそも治験とは、患者の治療に使われる薬の候補となる物質を選び出すため、健康な成人や患者へと使用して調べることを指します。
その治験を海外と国内で行った場合にはどんな違いがあるのでしょうか。
詳しく説明します。

海外治験とは?

海外治験は日本の製薬企業が国外の医療施設にて実施することもありますが、よくあるケースは各国の製薬会社が日本での市場拡大を図るために治験を行う場合です。
海外で処方や販売がされている実績を持つ薬であっても、日本で医薬品を販売するためには厚生労働省の承認されなければなりません。
その承認を得やすくするためには、日本人の被験者に薬を投与し、実証データの収集が必要です。
海外治験は場所が国外というだけで、参加方法などは日本国内の治験と大差ありません。まず最初に、治験サイトにボランティア登録をして申し込みます。
言葉の壁などに不安を覚えることもあるかもしれませんが、海外治験を受ける医療施設に日本人医師や日本人スタッフが在籍していることも少なくありません。サポートやフォローなどの体制も整っているため、外国語が話せなくても海外治験には参加しやすくなっています。

海外の治験と国内治験の違いは?

海外と国内の治験で気になる違いといえば、安全面について、という方も多いのではないでしょうか。
しかし、海外の治験だからといって国内より安全面が劣るということはありません。
海外治験も国内治験と同様に被験者の安全を最優先して行われています。
治験を実施しているぐらいですから設備も充実し、経験豊富な医師やスタッフが在籍しています。また、治験の薬などについても研究データに基づき用いられています。
治験が開始されると食事や行動が制限されるのは海外も国内も全く同じです。
それでも、もし海外治験を受けるにあたって不安を感じるようであれば、健診を終えたあとであっても辞退できるシステムが整えられています。

国内より早く新薬治療の治験が行える

海外治験に関して、国内の治験との最も大きな違いと言えるのが新薬治療ではないでしょうか。
新着治療は国内よりも海外のほうが早く受けられます。
日本の治験プロセスは非常に遅く、アメリカやヨーロッパなどと日数を比較すると5倍かかっているといわれています。
特に新薬開発の素早いアメリカと比べると日本は18倍もの日数を費やしています。
そのため日本ですとなかなか行われない新薬治療も、アメリカやヨーロッパならすぐに受けられる可能性もあります。

被験者には宿泊費が支給される

海外治験ではその国へ数日滞在することになりますが、その期間の宿泊費が製薬会社から支給されます。
日本の場合は通院することも多いため、この点は海外治験と国内治験の大きな違いと言えるでしょう。
海外治験の場合は治験そのものだけでなく事前の健診も滞在期間として宿泊費を支給してもらうことができます。ただし、宿泊費の支給には大抵上限が設定されているので注意が必要です。
海外治験にて、参加者に対し謝礼金が支払われるタイミングは全ての日程が終了した後です。治験が長期に及び報酬が高額だった場合は数回に分けて支給されることもあります。

思い込みはせず正しい知識を得ることが大切

国内の治験よりも新薬治療を早く受けることができるほか、製薬会社から宿泊費が支給されたり、報酬の相場も高いなど、海外治験にはメリットが豊富です。
ただし、国内治験と同様に、新薬を使用したとき体に合わず、途中で治験が中断されることもあります。
海外治験を受ける際にはこうした国内治験との違いのほか、共通点にも目を向け、外国の治験だから危険なのではないか? などの思い込みがないようにしましょう。
海外治験においても国内治験においても、まずは正しい知識を得ることが大切です。

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