治験が終了すると必ず薬事申請(製造販売承認申請)を行わなければなりません。ここでは、薬事申請の概要や申請に必要な書類、申請の流れについて解説します。
薬事申請とは
薬事申請とは医薬品や医療機器などを製造・販売するために、厚生労働省に対して行う申請のことです。厚生労働省から承認を得て初めて、医薬品や医療機器の製造・販売が可能になります。治験を行った医薬品はもちろん、海外から輸入した医薬品や医療機器なども、必ず薬事申請を行わなければなりません。
薬事申請の必要書類
薬事申請を行う際に必要な申請書類と添付書類について解説します。
申請書類
薬事申請を行うためには、指定の申請書類に必要事項を記載する必要があります。医薬品・医療機器・医薬部外品を製造・販売・輸入する場合は必ず薬事申請が必要ですが、何に対して申請を行うのかで記載する申請書類が異なるので注意が必要です。
治験後の医薬品の製品の有効性・安全性などの審査を行う場合は、様式第二十二「医薬品・医薬部外品・化粧品製造販売承認申請書」を提出します。そのほかの申請に必要な様式は、以下のリンクを参照してください。
添付書類
医薬品と一括りにいっても「新有効成分含有医薬品」や「新効能医薬品」などの区分により、提出しなければならない添付書類は異なります。
例えば「新有効成分含有量医薬品」に該当する場合、以下の添付書類が必要です。
- 起源又は発見の経緯及び外国における使用状況等に関する資料
- 起源又は発見の経緯に関する資料
- 外国における使用状況に関する資料
- 特性及び他の医薬品との比較検討に関する資料
- 製造方法並びに規格及び試験方法に関する資料
- 構造決定及び物理的化学性質等に関する資料
- 製造方法に関する資料
- 規格及び試験方法に関する資料
- 安定性に関する資料
- 長期保存試験に関する資料
- 苛酷試験に関する資料
- 加速試験に関する資料
- 薬理作用に関する資料
- 効力を裏付ける試験に関する資料
- 副次的薬理・安全性薬理に関する資料
- その他の薬理に関する資料(医薬品ごとに判断が必要)
- 吸収、分布、代謝、排泄に関する資料
- 吸収に関する資料
- 分布に関する資料
- 代謝に関する資料
- 排泄に関する資料
- その他の薬物動態に関する資料(医薬品ごとに判断が必要)
- 急性毒性、亜急性毒性、慢性毒性、催奇形性その他の毒に関する資料
- 単回投与毒性に関する資料
- 反復投与毒性に関する資料
- 遺伝毒性に関する資料
- がん原性に関する資料(医薬品ごとに判断が必要)
- 生殖発生毒性に関する資料
- 局所刺激性に関する資料(医薬品ごとに判断が必要)
- その他の毒性に関する資料(医薬品ごとに判断が必要)
- 臨床試験の成績に関する資料
- 臨床試験成績に関する資料
- 法第五十二条第一項に規定する添付文書等記載事項に関する資料
- 添付文書等記載事項に関する資料
区分ごとに必要な添付書類の詳細は以下の出典元から確認してください。
薬事申請の流れ
治験後の薬事申請をどのような流れで進めていくのかについて解説していきます。
申請書の提出
必要事項を記入した申請書類と必要な添付書類を用意し、申請を行います。申請は厚生労働省が管轄する独立行政法人 医薬品医療機器総合機構に対して行います。
信頼性調査
申請書を提出すると、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構や外部の専門家によって、信頼性の調査が実施されます。信頼性の調査では、臨床試験データが「申請資料の信頼性の基準」を満たしているか調査され、厚生労働省令が定める基準を満たし、正しく有効な臨床データかどうかが精査されます。
審査専門員との面談
信頼性調査の一環として、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構や外部の専門家などと面談が実施されることもあります。面談では申請書や添付書類に記載したデータに関して詳細な質問が行われます。
製品製造所の調査
信頼性調査をクリアすると製品製造所の調査が実施され、安定して安全に医薬品を製造し、継続的な供給が可能かどうかが精査されます。調査は以下の3つの省令に基づいているかを判断されます。
- GMP省令
- QMS省令
- GCTP省令
厚生労働大臣の承認
信頼性調査・製品製造所の調査を無事クリアすると、厚生労働大臣と審議会で諮問・答申が行われ、問題がなければ薬事承認が下ります。スムーズに進んだ場合でも、申請から承認までは、半年から1年程度かかるのが一般的です。