治験に使われる治験薬は、正しい取り扱いが求められています。配送についても確認が必要です。ここでは、治験薬の配送方法や配送手順、注意点などに関して紹介します。
治験薬の配送方法
治験で使われる薬は、まだ世に流通していないものです。そのため、細心の注意を払って取り扱わなければなりません。配送方法について解説します。
どのようなケースで配送が必要になるのか
医療機関で治験を行う場合、薬の開発業者から医療機関へ配送される形となります。海外で製造された治験製品も、国内に到着してから医療機関などに配送されていきます。 治験によっては、患者が自宅で治験薬を取り扱うことも多いです。こういったケースでは直接被験者の自宅に治験薬を配送することもあります。
温度管理は必要
治験薬の中には温度の影響を受けてしまうものもあるため、徹底した温度管理体制が求められます。断熱容器や蓄熱材、保冷剤といったものを使って温度管理を行うケースが多いです。 また、大量に治験薬を配送する場合は保冷トラックなどを活用することもあります。
一般的な荷物と同様に配送するのには向いていない
きちんとした温度管理が必要になることから、通常の荷物と同様に配送するのは不適切といえます。管理や取り扱いに関することはもちろんのこと、梱包、書類処理、照合作業なども必要です。
治験薬の配送手順
治験薬は、どのような流れで配送されることになるのでしょうか。まず、受け取り側の希望に合わせて輸送日時を検討する形となります。原則として、配送日の当日に担当者に受け渡さなければなりません。
配送日時が決定したら、適切な温度管理のもと配送を行うために必要な保管容器の準備を行います。場合によっては、液体窒素の充填に使える専用の容器やドライシッパーを使用することも多いです。ドライシッパーとは、液体窒素を吸着させられる特殊なスポンジが入っている容器で、これにより治験薬を安全に極低温を保ったまま配送できるようになります。
治験薬を受け取る際、配送業者は治療薬受領書を確認し、サインをしなければなりません。受け取った治験薬は医療機関や患者の自宅などへ運ばれ、受け取り時にも治験薬受領書などにサインをもらいます。
場合によっては、前回の治験薬の残りを回収するのも配送業者の仕事です。残薬の封は患者自身が行います。
治験薬の配送に関する注意点
治験薬の配送にはいくつか注意しておくべきポイントがあります。以下を確認しておきましょう。
専門的な知識が求められる
温度管理に関することだけではなく、治験薬の取り扱いに関しても専門的な知識を持った担当者が配送を行う必要があります。自社で対応できない場合は外部委託についても検討が必要です。
GCP省令などのルールを遵守しなければならない
国によって定められている治験に関するルール「GCP省令」を守った取り扱いが必要です。適切な対処を理解し、決められた配送手順を守ることが求められます。 また、薬事法などの法律や地域ごとの規制に関しても同様で遵守が求められます。