医薬品を開発して世に出すにあたって行う「バリデーション」の一部に、クオリフィケーション(適格性評価)というものがあります。クオリフィケーションの内容や手順について紹介します。
クオリフィケーションの手順
クオリフィケーションとは、医薬品開発にあたって機器や補助システムが正しく配置され、正確に動作していることを検証・文書化する行為の流れを言います。
具体的には、以下のような流れで行われていきます。
DQ(Design Qualification)
まずは設備設計がGMP及びユーザーの要求に合致しているかどうかについて、検証するところからスタートします。一般的には「ユーザー要求書(UR)」や「ユーザー要求仕様書(URS)」と、実際の設計とを照合していくのが流れです。
設備を構築する際は求める使用をURSとまとめ、設備サプライヤは要求仕様を満たすための設計を行います。URSにはGMPへの適合も考慮されており、この段階ではGMPについての設計チェックの意味合いも兼ねています。
IQ(Installation Qualification)
施工・製作に伴って設備の搬入・据付が行われると、設計通りに設備が施工されているかを確認するためにIQの段階へと移ります。
製作や組立、据付が適しているかどうかを確認し、配管サイズや接続、機器の型番、外観・寸法など、詳細な点まで、全てが設計図書通りかを確認します。
OQ(Operational Qualification)
設計通りに設備が施工されていることを確認できたら、設計通りに設備がしっかり機能するかどうかを確認します。この段階がOQと呼ばれるものです。
例えば自動弁の開閉や、設計時間による動作、撹拌機の回転など、様々な動作を設計通りに稼働するかどうか確認します。性能を確認する際には測定計器を利用しますが、この測定計器が正確な動作をすると認められている必要があるため、OQを始める前には計器のキャリブレーションを完了させることも必要です。
PQ(Performance Qualification)
OQは実際に使用される薬剤ではなく、水などの代替品で行います。そのためPQでは実際に使用される薬液を使用して、所定の性能が発揮できることを確認する必要があります。
実際に製作段階で使用される溶液・粉などを用いて運転し、設備の性能を確かめます。適格性を十分に確認したら、実生産規模と同じ手順によって医薬品を製造し、期待通りの結果が達成されるかどうかを確認します。
PV(Process Validation)
規定された製造工程において、あらかじめ定められた規格・品質特性に適合した製品を一貫して製造できることを文書で保証する段階が「PV」です。
開発から製造までの全ての活動において、最終的に医薬品の品質を保証する重要な段階と言えます。